「腹圧がかかることで不快感を感じる」
「腹圧性尿失禁を改善したい」
「腹圧をコントロールしたい」

このような悩みを抱える人は意外と多いものです。腹圧は体幹の安定に欠かせないものですが、過剰にかかると尿漏れや胃酸の逆流、腰の負担増加などを引き起こすこともあります。
実は、腹圧を適切に調整する鍵は「呼吸」にあります。正しい呼吸を行いながら、姿勢や動作を工夫することで、腹圧を無理なくコントロールし、不快な症状を軽減することができます。
腹圧とは?なぜコントロールが重要なのか

腹圧(腹腔内圧)は、お腹の内部にかかる圧力のことを指します。横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋というインナーマッスル連携し、内臓や脊柱を支える役割を果たしています。
これをコアスタビリティと呼びます。
コアスタビリティは、体幹を安定化させ、身体能力を向上させるメリットがあり、このメカニズムを支えているのが、お腹から腰、骨盤を取り巻くインナーマッスルです。
適切な腹圧のメリット | 腹圧が過剰にかかると |
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体幹が安定し、腰や背中への負担が軽減される 自然体の姿勢を維持しやすくなる 呼吸が深まり、リラックスしやすくなる | 腹圧性尿失禁(咳・くしゃみ・ジャンプ時の尿漏れ) 胃酸の逆流(逆流性食道炎) 腰痛や骨盤底筋の負担増加 |
「腹圧を下げる運動」や「腹圧をコントロールする方法」を理解することで、体に余計な負担をかけずに快適な状態を保つことができます。
腹圧がかかる
姿勢・運動・動作とは?
日常の中で、知らず知らずのうちに腹圧が過剰にかかる動作をしていることがあります。
腹圧がかかる姿勢・運動
- 座るときに足を組む(腹圧が逃げにくくなる)
- いきんでしまう呼吸(力みすぎる)
- 猫背や前傾姿勢(内臓が圧迫され、腹圧が上昇)
- 重い荷物を持ち上げるとき(腹筋に力が入りすぎる)
- 腹部を強く圧迫する運動(腹筋運動や過度なストレッチ)

このような姿勢や動作によって、一時的に腹圧が上昇する際のコントロールが難しくなり、尿漏れや胃酸逆流の原因となります。
腹圧を下げる方法と運動
腹圧がコントロールできず、高すぎる腹圧を下げるためには、「力みすぎない呼吸」と「姿勢の調整」と「正しい運動パターン」が重要です。
息を吐く(呼気)ことを中心とした腹圧を高める呼吸法を行い、呼気をしっかりと行うことで、横隔膜の動き、腹横筋の動き、骨盤底筋の動きを適切に引き出し、腹圧のバランスを回復させることができます。

腹圧を整える呼吸のポイント
- 肩や首の力を抜き、呼気の長さを一定に保つ
- 息を吐く際に、胸郭がしぼむ感覚を捉える
- 腹横筋と骨盤底筋を連動させながら息を吐く
呼吸の実践方法
- 4秒かけて鼻から息を吸い、8秒かけて口から息を吐く
- 息を吐きながら、お腹を軽く凹ませるように引き込む
- お腹を引き込みつつ、※おしっこを止めるような感覚をもつ
- 息を吐き終わった後、一瞬だけ自然な停止状態を感じる
※腹圧性尿失禁について
腹圧性尿失禁の多くは、骨盤底筋の使い方が間違っていることが多くみられます。
本来、骨盤底筋が正常に働くと、体に引き込まれるような収縮パターンになりますが、間違ったパターンでは、息みによって骨盤底筋が外へ押し出されるような動きになってしまいます。
この場合、腹圧性尿失禁が誘発されてしまいますので、やみくもに行うのではなく、一つ一つの運動を丁寧に観察しながら行うことが重要です。
これにより呼吸のリズムが安定して、無意識の腹圧の上昇を防ぐことができます。加えて、姿勢の実践方法では、リラックスした自然体を心がけてましょう。常に呼吸を保ち、リラックスした自然体を心がけることが腹圧のコントロールにつながります。
立つときのイメージを変える
- つま先やかかとに重心をかけすぎず、足裏全体に圧がかかるように
- 意識した姿勢をやめ、自然体を心がける
座るときの姿勢を整える
- 深く腰掛け、背もたれを使い、緊張を抜く
- 坐骨を座面につけ、両足の踵を床につける
腹圧を整える体操
ストレスを感じさせないのがポイント。
腹圧を整えるには姿勢調節を行う脳幹へ良好な感覚刺激を与えることが重要です。その方法として骨盤のゆすり体操をご紹介します。
この方法は人間の発生をたどって、爬虫類だった時の記憶を利用した原始的な方法です。

可能な限りストレスにならないように。脱力して「頑張らないこと」「意識しないこと」がポイントです。
心地よさを感じる程度に気楽に気軽に行いましょう。
腹圧を整える体操
顔を左に向け、手で枕をつくり、うつ伏せになりましょう。
肩や腕が痛い人は挙げなくて大丈夫。(胸枕をすると楽にできます)
骨盤から下を左右にユラユラ揺すってください。
脱力して魚の尾ひれのような感じでユラユラと。
頑張らなくて大丈夫。リラックスしてやってみてください。
時間も回数も決めなくて大丈夫です。自然にやめたくなったらやめてください。
個人的には、お気に入りの音楽を聴きながらがオススメ(だいたい1〜2曲)
音楽に合わせてユラユラと波をうつように行います。

体操を行うことで、痛みが強くなったり不快感を伴う場合は中止して下さい。
呼吸を整え、
腹圧をコントロールしよう

「腹圧が高いから下げたい」とお困りの方は、どちらかと言うと、「腹圧のコントロールが苦手」という表現の方が正しいです。
そして、腹圧は意識的にコントロールできるものではなく、自然に調整されていますので、体がしっかりと腹圧を使いこなせる状態にすることが大切です。
確かに、腹圧が過剰にかかると、尿漏れや逆流性食道炎、腰痛の原因になります。ですが、それは「無意識のうちに息みすぎていないか」「姿勢が崩れていないか」「体の使い方が間違っていないか」を考えてみましょう。
肉体的に問題がなくても、人間の体は間違った呼吸や、運動パターンによって様々な症状が現れてきます。日常生活の習慣や行動を見直すことで、変えられることもありますので、ぜひ取り組んでいきましょう。
腹圧を下げる(コントロールする)ためには?
- 呼吸を整え、リラックスした息の吐き方を習得する
- 腹圧がかかりすぎる姿勢や動作を見直す
- ゆったりとしたリラクセーションや運動を取り入れる
日常生活の中で少しずつ実践していく、腹圧のコントロールがしやすくなります。無理なくできる方法から試してみましょう!
