無意識の食いしばりが
脳を疲労させる
脳疲労の正体
実は 歯 が原因かも⁉︎
寝ても取れない疲れ
朝から重い頭
集中力が続かない

私たちは日々のストレスや習慣の中で、知らず知らずのうちに歯を噛みしめています。
例えば、仕事中にぐっと奥歯に力が入っている瞬間。スマホを見ながら、気づかぬうちに上下の歯が触れている時間。
こうした「食いしばり」や「歯ぎしり」、そして「TCH(Tooth Contacting Habit)」と呼ばれる習慣は、単に歯にダメージを与えるだけではなく、静かに、確実に、あなたの神経系全体に負荷をかけ続けているのです。
TCHと食いしばりの違い

TCH(歯列接触癖)は、上下の歯を弱い力で「長時間・持続的に」無意識で接触させてしまう癖です。(TCH – Tooth Contacting Habit)
普段リラックスしているとき、歯は本来わずかに離れているのが正常ですが、TCHの人は仕事中や考え事をしているときなどに、弱い力でずっと歯が触れています。
食いしばりは、上下の歯を「強い力」でギュッと噛みしめる動作です。
無意識に起こることが多く、ストレスや緊張がきっかけになることもあります。短時間でも顎や歯に強い負担がかかり、痛みや違和感を自覚しやすいです
TCH | 食いしばり | |
力の強さ | 弱い | 強い |
時間 | 長時間・持続的 | 短時間・断続的 |
意識 | 気づきにくい | 気づきやすい |
特徴 | 歯が軽く触れ続ける | 歯を強く噛みしめる |
食いしばりや歯ぎしり対策としては、マウスピース(ナイトガード)を装着することで、歯や顎へのダメージを物理的に軽減できますが、TCH(歯列接触癖)は「弱い力で長時間、無意識に歯が触れている」ため、本人が気づきにくく、マウスピースだけで根本的な改善は難しいとされています。
TCHの対策は「自分で気づいて歯を離す」ことが基本であり、マウスピースのような受動的な方法だけでは十分な効果が得られません。「気づき」と「習慣化」が最大のポイントです。

感覚入力の暴走と
神経緊張のメカニズム

歯には、骨や筋肉とは異なる、独自の「感覚入力」があります。歯根膜を通して伝わる微細な圧や振動、咀嚼筋からの筋紡錘・腱器官の信号。
これらはすべて、脳幹や小脳、さらには大脳皮質へと入力され、私たちの姿勢や筋出力、バランス制御に活用されています。
本来、これらの感覚は「適度」であれば調和を保ちますが、
- 長時間にわたる微細な接触(TCH)
- 睡眠中の強い歯ぎしり
- 起床直後からの顎のこわばり
などが続くと、感覚入力が過剰化し、神経系が常に覚醒モードのまま、クールダウンできなくなってしまうのです。
咀嚼筋の緊張と
頭蓋骨の圧縮
こうした神経の緊張が続くと、やがて咀嚼筋(側頭筋・咬筋・外側翼突筋・内側翼突筋)が常に緊張し続けたままになります。
その力は、頭蓋骨にまで及び、まるで外側から静かに締め付けるように作用していきます。頭蓋骨は一枚岩ではなく、縫合と呼ばれる関節で繋がれた複数の骨で構成され、通常は呼吸や心拍に伴ってごくわずかに動いています。


その中の「クレニオセイクラルリズム」と呼ばれる中枢神経の代謝によるリズムがあるおかげで、脳脊髄液の循環が保たれ、頭の中は柔軟性とコンディションを維持できるのです。
しかし、咀嚼筋の緊張が慢性的に続くと、このリズムは次第に制限されていきます。頭蓋の骨は押し固められ、可動性を失い、結果として「緊張が抜けない感覚」に陥っていきます。
硬膜の緊張と
グリンパティックシステム

頭蓋の内側には「硬膜」があります。
これは脳を包み込み、さらに脊髄へと繋がっている強靭な膜であり、クッションの役割と同時に、構造の安定にも関わる重要な組織です。
頭蓋の動きが鈍ることで、この硬膜にも引きつれが起こりやすくなります。とくに後頭部や側頭部のテンションは、しばしば脊髄硬膜管にまで波及し、全身の神経系統へ「張り詰めた信号」を送り続けることになります。
その結果として、脳脊髄液の循環が悪くなり、いま注目されている「グリンパティックシステム」にも影響が出てきます。
グリンパティックシステムとは、睡眠中に働く脳の洗濯機のようなもの。
脳内の老廃物を脳脊髄液とともに洗い流す役割を担っており、これが機能することで、朝スッキリと目覚めることができます。

食いしばり・TCHによる
脳疲労に気づこう
「なんとなくずっと疲れている」「朝が重い」「集中がきかない」そんな日常に潜んでいる緊張の抜けにくさの裏側には、もしかすると、静かな「歯のクセ」が隠れているかもしれません。
日中や就寝時に、本人が気づかないうちに奥歯を噛み締めている状態。TCH(歯列接触癖)やストレスによる反射的な筋緊張が多く、側頭筋や咬筋の緊張が持続します。
- 呼吸が浅くなる、交感神経優位になる
- 頭痛、肩こり、耳の違和感として現れることも

頭蓋の柔軟性が失われる段階。側頭部や後頭部の筋肉に常時テンションがかかり、頭蓋骨の微細な動きが制限されていきます。いわゆる「頭が重い」「思考がまとまらない」感覚もここから。
- 頭部の温度が上がったような感じ
- 情報処理や集中力に支障が出始める

脳硬膜がテンションを帯び始める。咀嚼筋や頭蓋周辺の筋膜の緊張が、脳硬膜・脊髄硬膜へと連鎖。結果として硬膜全体が過緊張し、神経系に圧力を与える形になります。
- 後頭部や首すじに張り感・違和感
- 自律神経の乱れが出やすい時期

頭の「洗浄機能」が鈍る。膜の緊張により、脳脊髄液(CSF)の流れが鈍くなり、グリンパティック系の働きも低下。老廃物の排出がうまくいかず、脳内に疲労物質が蓄積していきます。
- 寝ても疲れが取れない
- 脳のクールダウンができず、熱がこもったような感覚

脳疲労の慢性化。交感神経優位が長時間続き、思考停止・感情の鈍麻・慢性疲労感に。深い睡眠が取れず、朝起きてもすでに疲れている感覚。いわば「脳が力尽きた状態」。
- 無気力、気分の落ち込み
- 慢性的な頭重感や抑うつ状態につながることも

くいしばり、TCH、歯軋りが由来の脳疲労は、単純にコレをすれば改善するという単純なものではありませんが、静かで、やさしいタッチから、神経に「もう大丈夫」と伝える。そんなアプローチが必要なのかもしれません。
脳が深く休まる時間、それは「緊張が抜けない感覚」をそっとほどいていくところから始まります。

脳疲労を解放する
クレニオセイクラルセラピー

このように、食いしばりやTCHがもたらす影響は、単に顎や歯の問題にとどまりません。
それは静かに、深く、脳の排出と回復の仕組みを妨げ、睡眠の質、集中力、そして感情の安定にまで影響してきます。
このような背景があるからこそ、単なる筋肉の緩和やマッサージでは根本的な改善には至りにくく、もっと「中枢」や「内側」に届くケアが必要になります。
その選択肢のひとつとして提案したいのが、クレニオセイクラルセラピー(CST)です。
CSTで頭蓋の緊張を解きほぐす

CSTは、極めて繊細なタッチで頭蓋や仙骨に触れ、体液のリズムや硬膜の緊張を感じ取りながら、中枢神経のバランスを整えていくセラピーです。
何もされていないような、ただ手を添えているだけのような、それでもどこか深くに届くような感覚。
この静けさを感じる時間が、神経にとっては何よりの解放になるのです。

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