ギックリ腰に限りませんが、時々「〇〇は治りますか?」という質問を受けることがあります。
毎回このような質問を受けるとお答えに困るのですが、その方の情報が何も無ければ、不本意ではありますが「ケースバイケースです。」というお答えになってしまいます。
具体的な情報が無ければ、何も分からないのが正直なところです。
そして、「治った」という状態は、患者さまの考え方によっても変わってきます。
患者さまが考えているゴールがどこにあるかによって、治ったというレベルは全く異なります。強い痛みだけが問題であれば、ほとんどの場合、放っておいても強い痛みは3日もあれば引きます。椎間板、脊髄や神経に影響がある場合を除き、薬やコルセットなどなくても1週間もすれば痛みは気にならないくらいにはなるのでは無いでしょうか。
ですので、「強い痛みが引いた=治った」と考える方にとっては、すぐ治りますと答えられますが、「絶対にまたギックリ腰になりたくない」と考えている方は、1週間では治らないという回答になります。
治ったという感覚は、自覚症状による感覚的なものに影響されやすく非常に幅が大きいです。そのため、回答もざっくりとした回答しか出来ません。いずれにしても間違いのない事実として、いきなりギックリ腰になることはまずありません。必ず、腰または腰に関連する場所への蓄積疲労があります。
ギックリ腰を経験した後には、繰り返したり、慢性的な違和感や痛み、疲労感、張りなどを感じやすくなりますが、強い痛みを経験した際には、体の生理反応として患部を保護するため、人体はその場所の活動を抑制します。当然、筋活動が抑えられますので、筋肉は萎縮し、筋力は低下します。
治療の中で、姿勢、歩行、運動パターン、生活習慣、環境が改善されていなければ、今度は弱った場所に負担がかかり続けることになりますので、再びギックリ腰を起こすサイクルも短くなりますし、慢性症状も強く出るようになってきます。
あなたのギックリ腰は再発するかもしれませんし、しないかもしれません。
ですが、確実にリスクが高くなっていることは間違いありません。
私たちセラピストが、継続した治療の必要性を訴えるのにはこのような理由があります。強い痛みを経験した後には、リハビリを行わなければ高確率で再発することを経験上知っているから勧めているのです。
誤った、姿勢、歩行、運動パターンは放っておいても絶対に回復することはありません。
同じ体を数十年にわたって使っていかなければならないわけですから、強い痛みを良いきっかけとしてご自分の体と向き合ってみる時期と捉えていただくと、とても良い経験になるのではないかと思います。
よくキャッチコピーで「一回で治った」というのを見かけます。誇大広告だとは思いませんが、ちょっと違和感を感じます。だけど、正直に書いたらあまり響かないですし、難しいところです。
つらい時ほど一発で解決できる「魔法の薬」が欲しいですからね。
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